アルパカコネクト 1周年オフ会
さて。
オフ会である。
会場は、こー、PBW系オフでありがちな貸会議室の一室。
なぜかアルパカが一匹放し飼いにされ、会場を歩き回っている。
んで。
「やあみんな、楽しんでるかな?」
マイクを手に、めっちゃいい声で呼び掛けたのは、我らが放浪王子、ウィリアム・リーンエスだった。今日は『AnnihEpica』のムジカ・トラスWD代理である。
「自己紹介からいこっか。マイク回すぞ」
同様に呼びかけているのは我らがミュージシャン兼フリーター、レイジ。こちらは『東京インソムニア』の狸穴醒WD代理であった。
「まずはイヴェール・イリュジオン」
「え? 私ですか、そんなっ、心の準備が……!」
イヴェールは一番乗りで会場に到着したにも関わらず気後れし、壁の花になっていたのだった。しかしご指名を受けたからにはと、姿勢を正す。
「こ、こんにちは。はじめましての方ははじめまして。イヴェール・イリュジオンと申します。農家で育ちましたが、かつてイリュジオン家は王党派の貴族で、私は騎士になる夢を見て育ち、……えと。ええと、うわーんすみませんっ」
イヴェールはぺこりと頭を下げる。銀の髪がしなやかに揺れた。
「とにかくオフ会に参加しろ、参加することに意義があるってPLさんに言われて。でもここで何を話すかとか全然打ち合わせしてないんですぅ。どうしよう〜」
「大丈夫ですよ〜。気軽にいきましょー」
ルアンナ・ミュラーが明るく言い、イヴェールに微笑む。
「はい! ありがとうございます」
イヴェールはほっとした表情でルアンナにマイクを渡す。
「では改めまして。こんにちは皆さん、ルアンナですー♪ 今日は中の人モードです。よろしくお願いしますね♪」
パン屋『ミュラース』の若き店主(の中の人)は、自分が所持するキャラクターが載った名刺をマイク片手に配り始めた。
「裏面も要チェックです! ちゃんと『ゆっくりルアンナ』もいますよ! もう代名詞かも? ふふ」
そして。
「『例のアレ』も持ってきましたー! 見て見て力作のラブレター♪」
……例のアレとは。
何と、アニエピカのキャラクターたちが描かれた自作のボードゲームであった。ルアンナPLさん渾身の「ラブレター」である。
「うわあ! すごい。すごーい!! よく出来てるじゃん!!!」
駆け寄って覗き込んだのは、サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブだった。ルアンナからマイクを受け取り、会場の面々に向き直る。
「こんにちはっ。サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブを演じているサフィラ・N・藍田です。ブラジル人と日本人のハーフで、職業は褐色キャラ専門のコスプレイヤーです。趣味はPBW。オフ会には初めて参加します。よろしくお願いしまっす!」
褐色の少女は元気いっぱいに蒼碧の瞳を輝かせる。
「AnnihEpicaで一緒の人たちとリアルでお話できるなんてうれしすぎ~~! 次は誰にマイク渡そっかな?」
「お、じゃあオレとウォーゼルが受け取っていいか?」
黒豹のハーフビースト、パルドが、金の瞳を人懐こく細め、サフィラに手を差し出した。ともに参加している幼なじみの、狼の耳と尻尾を持つハーフビースト、ウォーゼルと並んでマイクに向かう。
「パルドだ!」
「ウォーゼルです」
「会場のみんな、よろしく!」
「オフ会って楽しいね、パルド」
「うん。今までの冒険とか、納品物の話題とかで盛り上がれるもんな」
「そうそう、一緒に買ったこの服いいよね」
いかにも冒険者らしいお互いのいでたちを、ウォーゼルは見やる。パルドも満面の笑みを見せた。
「ああ。動きやすいしかっこいいし、オレもすごく気に入ってる♪」
「パルドの楽しそうな顔を見ると俺もわくわくするよ」
「どの納品も素敵で本当にありがたいよな。絵師さん達に感謝だ!」
「ウォーゼルはさ、印象に残ってる依頼とかあるか?」
「そうだな、初戦闘依頼かな。パルドとも上手く連携できたなって、少し自信も付いたし。パルドは?」
「オレは決戦かな。ウォーゼルと連携して、かなり敵を見つけられたと思う」
「報告書の一言も嬉しかったよね」
「これからも頑張ろう!」
「そうだね。今日は皆にも話を聞こう」
と、和気藹々と語り合う。
「よし、んじゃ次の人にマイク回すよ」
「はーい、ボクにくださーい!」
ストロベリーブロンドの髪をきらきらと掻き上げて、中性的な美少年がすっと歩み出た。
「皆さんこんにちは! ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラです」
エルゼリオは茶目っ気たっぷりにウインクをする。
「男の子、だよな?」
マイクを渡しながらパルドは首を傾げる。
「あはは。男の娘だよ! ボクのPLさんは今までアタッカーやタンクばかりやってきたから、新境地を開拓するためにボクを作ったんだって。でもさ」
ため息をひとつ。
「ピンク頭の男の娘ヒーラーとか作ったは良いけど、動かすの結構難しいみたいで」
「そうなのか?」
「うん。苦戦してるっぽい」
「楽しそうにやってる感じだけどな」
「だって戦闘依頼でMVP獲ったことないし。向いてないのかも……って落ち込んでるみたい」
「レイノーラさんは可愛いからいいんじゃないか?」
「さらっといいこと言うねキミ! よし今日は語り合おう。……次は、と。ナハシュさん、マイクいるー?」
「はいはい待ってました!」
エルゼリオからマイクを受け取ったのは、褐色の肌にアロハシャツを纏った、ゴブリンの青年だった。
「ナハシュPLです! 依頼等お世話になっております!」
夏の申し子のごとく眩しい笑顔で、ナハシュ(中身は中の人)はウィリアムに駆け寄る。
「特に骨頭の彼には頭上がりませんね本当に! WDからもお礼を伝えてください! この1年の思い出は沢山あり過ぎて。テーラーもリプレイも全部宝物です」
ナハシュPLさんは思い出を噛み締めるように言う。
「最近だと、まさか学乱でTOPに立つことになるとは。……恐れ多い。ありがとうございます! 今後ともご迷惑おかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願い致します」
丁重な挨拶の後、ナハシュPLさんは、ちょうどウィリアムの隣にいたバクル・バスリーにマイクバトンを渡すことにした。
「こんにちはみんな! バクル・バスリーだよ。今日はPLさんの代理!」
リザードマンの少年は、溌剌と挨拶をする。
「君だっけ、迷宮都市エドゥノーグのネタ提供者は」
ウィリアムが言い、バクルはにっこりする。
「うん! ネタを出した身としては盛り上がってくれて良かったよ。各組織のバックボーンとか、探索者認定等級制度とか、すごくいい感じにまとめてもらったし」
「はっはっは。もっと褒めてくれWDを!」
「まさかのカカオフィーバーには笑ったけど」
「はっはっは」
「あとは武以外の主幹路も盛り上がってくれるといいなぁ。そして迷宮鼠も……」
「なるほど。ちょっと待ってメモるから」
ウィリアムは持参のiPadを起動する。ドン・ゴーフルは此処まで食い込む予定はなかったらしいね、とか、World0も色んな世界がごちゃまぜになる可能性もあったみたいだよ、とか口走りながら。
「もう1年か、という感じですね。時が過ぎるのは早いものです」
ウィリアムの横から、バクルと並んでiPadを覗いていたドワーフのヴィルヘルミナが、感慨深げに呟いた。
緑の髪をしなやかに揺らし、紫の瞳を伏せる。
「私はあまり積極的に動いているほうではないので、もう少し色々と足を伸ばしたいところなんですが」
「リアルが忙しくて時間がないとか?」
と、バクル。
「いえ……。もっと遊びたいし発注もたくさんしたいですけど……」
肩を落とし、顔を覆う。
「予算が」
「あ、ああ」
「予算が…………、足りない。あまりにも足りないっ……!」
マイクに向かい、絞り出すように叫ぶ。
「あのう、ヴィルヘルミナさん。魂の絶叫をなさっているところ、失礼します」
グラマラスなエルフが歩み寄ってきた。
金髪に赤い瞳、露出度の高いビキニアーマースタイルである。
「あなたは確か……、アリシア・リターナーさん?」
「はい、アリシア・リターナー役を演じております藤原祐樹と申します。今日は皆様にぜひともお伝えしたいことが」
見事な肢体をくるりと一回転し、おもむろにVサイン。
「女戦士と言えばビキニアーマー!! トラクエ3やプリンセスミネラルに性癖を狂わされまして!! 強い女はビキニアーマーみたいな刷り込みがされてしまったのでございます!!」
「ま、まあ」
「ビキニアーマーはいいぞぉ! みんな着ろ〜!! もっと流行れぇ〜!!!」
負けず劣らずの魂の絶叫である。ヴィルヘルミナは目をぱちくりさせた。
「……皆さん、キャラが濃いですよねぇ」
マイクがインソムニア勢に回る。
「こんにちは。葛飾・北斗です。エルゼリオ・レイノーラとは同背後です。おいこら、エルゼリオー!」
赤い髪と金の瞳が印象的な高校生、北斗は、エルゼリオに向かって叫んだ。
「贅沢言うんじゃねぇ! 俺なんかなー? 活動はほぼ月イチな上に、テーラーでもお前と差付けられてんだぞ!?」
「聞こえなーい」
「お前は基本画像やピンナップ複数発注して貰ってんのに、俺は全身図×3/ハーフ×1/ピンナップ×1なんだぞー?」
「聞こえなーい聞こえなーい」
「これを依怙贔屓と言わずして何と言うってんだ!」
「聞こえなーい聞こえなーい聞こえなーい」
「同背後のPCさんたちなんだね。いいね、仲が良くて」
エルゼリオと北斗に、穏やかな声が掛けられた。
カフェバー「PolarBear」の店長兼マスター、神代・守喜役の男性俳優である。
「「仲が……良い?」」
絶句する同背後ズ。
「神代・守喜です。どうぞよろしく。今日はプレイヤーの代理で参加しているよ」
今日の守喜は洒落たデニム姿。いつもはきっちり整えている白髪まじりの前髪も自然に下ろし、眼鏡のフレームの色も若干明るめにしている。
「大人だー。もしかしていつもよりもラフな感じ?」
「そうだね。50代の守喜を演じる時よりもカジュアルかな。何といっても『オフ』だからね」
「おお、渋い。今日はよろしく! ……お?」
北斗は入口を見やる。目立つ美少女ふたりが揃って入場したのだ。
「ふむ。あれは八上 ひかりさんと八上・麻衣さんかな?」
「知り合い?」
「そういうわけじゃないが、印象的なふたりなので」
「へぇ。ココがアルパカコネクトのオフ会の会場かぁ~。あ、アルパカがいる」
「某社の会場とは、結構雰囲気違うね」
ひかりと麻衣は、どちらも"夜の姿"だった。
ひかりは、金髪ツインテールの愛らしい頭部を小脇に抱えた、美少女デュラハンの姿。麻衣は、クールで理知的な雰囲気を持つ美少女スナイパー。豊かな黒髪をポニーテールにまとめている。
アルパカに手を振ってから、ひかりと麻衣はゆっくりと中央に進む。
「ふたりとも、夜の姿なんだね」
「「ふふっ」」
守喜からマイクを受け取り、くすくすと、少女たちは笑い合う。ひかりは頭部をマイクの位置まで持ち上げた。
「皆さんこんにちは。八上 ひかりです」
「こんにちは。八上 麻衣です」
「知ってる人は知ってると思うケド……」
「実は、わたしたち、某社で複数の作品に参加したPCのリメイクキャラなの」
「ほほう」
「因みに、あたしは通算3作品目」
と、美少女デュラハンはにっこりし、
「わたしなんて、もう4作品目だよ~」
と、美少女スナイパーは朗らかに笑うのだった。
物販ブースの一角にしゃがみ、高橋 佳乃子は生まれたての小鹿のごとくガクブル震えていた。
(ど、どうしよう……)
何となれば、1周年も何もあーた、PCとして生まれたばかりの状態。しかもただでさえコミュ障な女子高生。そんな佳乃子ちゃんを海千山千の手練れプレイヤーが集うオフ会に放り込むとは背後さんは鬼か蛇か。
「どうぞ?」
マイクを差し出すひかりに、青ざめて首を横に振る。
「すみません素人ですみません(どんな怪談より怖くない? この状況……)」
「そんな、謝らないでお話しよ?」
「まあまあひかりさん。多分、登録したてのPCさんなんですよ」
物腰柔らかなスーツ姿の青年が、佳乃子の目線に合わせ、腰を屈めた。
「お名前を聞いていいですか?」
「高橋、佳乃子、です」
「こんにちは、佳乃子さん。俺は羽兼・圭人っていうPCの中の人で、今日は『天音健太』として参加しています」
実はですね、と、健太は声を落とす。
「俺も登録からひと月足らずの新参者なんです。なのに1周年オフ会に出ていいものか、緊張しっぱなしだったんです」
「あなたも……?」
「ええ。でも同志を見つけて少し落ち着きました」
良かったら一緒に物販を見て回りませんか、と、健太は言い、佳乃子はほっとした顔で頷いた。
「あら、おふたりとも新規の方々? 私も始めたばかりなんですよ」
物販ブースを眺めていたエレガントな女性が、穏やかに話しかける。
「1周年記念ですってね。こんにちは。私は緋崎・憂女。私も交流のお仲間に入れてくださると嬉しいのですが」
もちろんです、と、佳乃子と健太は同時に応える。
「これ、可愛いですね。それに、これも」
物販コーナーのアルパカ指人形と、アルパカ饅頭詰め合わせを、憂女は指差す。
それをきっかけに、会話が弾み出した。
「憂女さんは、これからどう活動なさる予定ですか?」
佳乃子は頑張って質問をする。
憂女は柔らかに微笑んだ。
「そうですね。背景も気になっているんですけど……、シナリオもいいなと」
「そのうち、依頼にご一緒できるといいですね」
健太が言い、佳乃子と憂女も、にっこりと顔を見合わせた。
憂女はおっとりと言う。
「今はどんな依頼が出ているのかしら。あとでチェックしてみませんか?」
初々しい新規組もいれば、世にも恐ろしい侵蝕事件に関わり、トラウマを負った男組もいる。
大地 奏名と藤堂・皐。ふたりは、ギャルゲ空間「ときめき♡インソムニア」の犠牲者である。
「皐サン、俺はもう二度とギャルゲーは御免だ」
「アレは悲惨な事件だったね……」
遠い目をする奏名の肩に、皐は、ぽむ、と手を置く。
「俺もまさかあんな事になるなんてね……(言えない。ヒロイン版の自分にトキメイたなんて……!)」
そして天国 コハクとハスロ・弥生は、男子ズの振り返りを楽しげに聞いている。
「あら? 皐もカナ君も、こんなに可愛い美少女と美女が居るっていうのに一体どうしたの? 私は既婚者だけど、そこはそれ」
「ねえ、弥生さん。ギャルゲーって何かしら? 何がどう悲惨で悲劇だったのかしら?」
「いい質問よコハちゃん! ギャルゲはね、男たちの憧れと願望とが詰まった楽園と言うべきかしらね」
「へぇ〜、羨ましい楽園ね?」
カナ君の気も知らず、ニヤニヤと笑うコハちゃん。
ちなみに弥生お姉様の方は確信犯的な微笑であるが、コハちゃんは無知で無自覚。その無垢な笑顔は奏名の男心をざっくり抉りまくっている。
あのとき。
奏名の攻略対象は、難易度がめちゃ低い「幼馴染」だった。難なく攻略できたわけだが、問題は、そのキャラクターの外見がコハクそっくりであったこと。
チョロ甘なゲームキャラと進展しない現実との差は、あまりにも虚しい。カナ君が屍と化すのも致し方なし。
「コハちゃんと姉ちゃんには分からない男の悲しみってもんがあるのさ……」
皐はふう、とため息をつく。
奏名は、
「弥生さん、ちょっとコハの耳、塞いどいてくれ」
そう前置きして、ぽつりと言う。
「俺の落とせない女と外見がそっくりなゲームキャラが、チョロ甘だったんだよ」
「えっ、カナ君が攻略できない女の子!? それはぜひ聞きたいわね」
ふふっと悪戯っぽい笑みを弥生は見せる。なお、コハちゃんの耳は塞いでいない。
「あら、女たらしのカナさんでも手を焼く女がいたのね」
塞いでないのに、コハちゃんは何も気づいてない。女の正体に、最後まで。
「カナ君の辛さを思うと涙腺が弱くなるよ。この悲しみは酒で癒やそ」
とりあえず酒を所望したい皐サンだった。
マイクは今、司波 唯織を演じている女性が持っていた。セミロングの黒髪をサイドポニーにまとめた美女である。
「はぁい、東京インソムニア勢の皆さん、こんにちは! 1周年オフ会、楽しんでますかぁ〜!? 唯織役の鷹代上総です」
テンション高く、上総は挨拶をした。
「お会いできて嬉しいです。今日はたくさんの方とお話したいです〜」
唯織はクールで無表情な女性だが、上総自身は明るくノリが良い。喜怒哀楽の表情も、とても豊かである。
(なるほど。これがギャップ萌えか)
妙な納得をしているのは篠乃木・琢磨だ。
「鷹代さーん、俺も俺も。挨拶挨拶」
「はいはい、琢磨さん。どうぞ〜!」
「どうもー! 弁護士、篠乃木・琢磨の中の人です」
琢磨PLさんはマイクを持つ手に力を込める。
「親しいPLさんとご一緒することが多いんですが、それ以外は、ほとんどお纏めテーマ専です。なので、もしそこでご一緒した方がいらっしゃれば挨拶に伺いたいと思っています。あとはですね」
さらに強く、マイクを握りしめる。
「ウィリアムさん、レイジさん。いつもお世話になっているクリエイターの方々へ。この場で愛を叫びたいんですが、いいですか? ありがとうございます(答は聞いてない)! 皆さんのおかげでこの世界で生きています!」
そして、さらに。
巨大寄せ書き用紙にもでかでかと、『クリエイターの皆様へ。 愛 し て ま す !!! 』と書くことを忘れない琢磨PLさんだった。
「あのぅ、レイジさん」
ウエイトレス姿の少女が、つんつんとレイジの服の裾を引っ張る。
「君は儀堂 スミレさん。そっか、七海真砂ライターのNPCさん。マイクいるよな? 営業するよな?」
「もちろん営業しますとも! こんにちは、アニエピカ/インソムニアのPCさんPLさん。北海道から来ました、七海真砂と申します。アニエピカではマスターを、東京インソムニアではライターをしております。今度ともよろしくお願いいたします」
そしてスミレさんは、これどうぞ、とクラーケン焼きを皆に配り始めた。ちなみにクラーケン焼きとは、たい焼きのイカバージョンであるそうな。
そこここで、談笑の花が咲き乱れる。
「ところで、新クラスは無理でも新種族なら追加してもいいんじゃないかい?」
とか適当なことをウィリアムが言ってる。大丈夫?
「年末年始はさ、毎日黙々と感想更新してたな……ぼっちで……」
そう呟いているのはレイジ。こちらも、遊園地の絵が納品された時スタッフもビビった、とか、テーマタイトルはノリで決めてる、とか、裏話を披露している。
さらに。
「何だって、アニエピカしかやってない? インソムニアもやろうぜ、少しの時間でも遊べっから。なっ!」
と、アピールにも余念がない。
1周年のオフ会は、まだまだ終わらない。
ふえふえと、アルパカが鳴いた。
【執筆:神無月まりばな】
オフ会である。
会場は、こー、PBW系オフでありがちな貸会議室の一室。
なぜかアルパカが一匹放し飼いにされ、会場を歩き回っている。
んで。
「やあみんな、楽しんでるかな?」
マイクを手に、めっちゃいい声で呼び掛けたのは、我らが放浪王子、ウィリアム・リーンエスだった。今日は『AnnihEpica』のムジカ・トラスWD代理である。
「自己紹介からいこっか。マイク回すぞ」
同様に呼びかけているのは我らがミュージシャン兼フリーター、レイジ。こちらは『東京インソムニア』の狸穴醒WD代理であった。
「まずはイヴェール・イリュジオン」
「え? 私ですか、そんなっ、心の準備が……!」
イヴェールは一番乗りで会場に到着したにも関わらず気後れし、壁の花になっていたのだった。しかしご指名を受けたからにはと、姿勢を正す。
「こ、こんにちは。はじめましての方ははじめまして。イヴェール・イリュジオンと申します。農家で育ちましたが、かつてイリュジオン家は王党派の貴族で、私は騎士になる夢を見て育ち、……えと。ええと、うわーんすみませんっ」
イヴェールはぺこりと頭を下げる。銀の髪がしなやかに揺れた。
「とにかくオフ会に参加しろ、参加することに意義があるってPLさんに言われて。でもここで何を話すかとか全然打ち合わせしてないんですぅ。どうしよう〜」
「大丈夫ですよ〜。気軽にいきましょー」
ルアンナ・ミュラーが明るく言い、イヴェールに微笑む。
「はい! ありがとうございます」
イヴェールはほっとした表情でルアンナにマイクを渡す。
「では改めまして。こんにちは皆さん、ルアンナですー♪ 今日は中の人モードです。よろしくお願いしますね♪」
パン屋『ミュラース』の若き店主(の中の人)は、自分が所持するキャラクターが載った名刺をマイク片手に配り始めた。
「裏面も要チェックです! ちゃんと『ゆっくりルアンナ』もいますよ! もう代名詞かも? ふふ」
そして。
「『例のアレ』も持ってきましたー! 見て見て力作のラブレター♪」
……例のアレとは。
何と、アニエピカのキャラクターたちが描かれた自作のボードゲームであった。ルアンナPLさん渾身の「ラブレター」である。
「うわあ! すごい。すごーい!! よく出来てるじゃん!!!」
駆け寄って覗き込んだのは、サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブだった。ルアンナからマイクを受け取り、会場の面々に向き直る。
「こんにちはっ。サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブを演じているサフィラ・N・藍田です。ブラジル人と日本人のハーフで、職業は褐色キャラ専門のコスプレイヤーです。趣味はPBW。オフ会には初めて参加します。よろしくお願いしまっす!」
褐色の少女は元気いっぱいに蒼碧の瞳を輝かせる。
「AnnihEpicaで一緒の人たちとリアルでお話できるなんてうれしすぎ~~! 次は誰にマイク渡そっかな?」
「お、じゃあオレとウォーゼルが受け取っていいか?」
黒豹のハーフビースト、パルドが、金の瞳を人懐こく細め、サフィラに手を差し出した。ともに参加している幼なじみの、狼の耳と尻尾を持つハーフビースト、ウォーゼルと並んでマイクに向かう。
「パルドだ!」
「ウォーゼルです」
「会場のみんな、よろしく!」
「オフ会って楽しいね、パルド」
「うん。今までの冒険とか、納品物の話題とかで盛り上がれるもんな」
「そうそう、一緒に買ったこの服いいよね」
いかにも冒険者らしいお互いのいでたちを、ウォーゼルは見やる。パルドも満面の笑みを見せた。
「ああ。動きやすいしかっこいいし、オレもすごく気に入ってる♪」
「パルドの楽しそうな顔を見ると俺もわくわくするよ」
「どの納品も素敵で本当にありがたいよな。絵師さん達に感謝だ!」
「ウォーゼルはさ、印象に残ってる依頼とかあるか?」
「そうだな、初戦闘依頼かな。パルドとも上手く連携できたなって、少し自信も付いたし。パルドは?」
「オレは決戦かな。ウォーゼルと連携して、かなり敵を見つけられたと思う」
「報告書の一言も嬉しかったよね」
「これからも頑張ろう!」
「そうだね。今日は皆にも話を聞こう」
と、和気藹々と語り合う。
「よし、んじゃ次の人にマイク回すよ」
「はーい、ボクにくださーい!」
ストロベリーブロンドの髪をきらきらと掻き上げて、中性的な美少年がすっと歩み出た。
「皆さんこんにちは! ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラです」
エルゼリオは茶目っ気たっぷりにウインクをする。
「男の子、だよな?」
マイクを渡しながらパルドは首を傾げる。
「あはは。男の娘だよ! ボクのPLさんは今までアタッカーやタンクばかりやってきたから、新境地を開拓するためにボクを作ったんだって。でもさ」
ため息をひとつ。
「ピンク頭の男の娘ヒーラーとか作ったは良いけど、動かすの結構難しいみたいで」
「そうなのか?」
「うん。苦戦してるっぽい」
「楽しそうにやってる感じだけどな」
「だって戦闘依頼でMVP獲ったことないし。向いてないのかも……って落ち込んでるみたい」
「レイノーラさんは可愛いからいいんじゃないか?」
「さらっといいこと言うねキミ! よし今日は語り合おう。……次は、と。ナハシュさん、マイクいるー?」
「はいはい待ってました!」
エルゼリオからマイクを受け取ったのは、褐色の肌にアロハシャツを纏った、ゴブリンの青年だった。
「ナハシュPLです! 依頼等お世話になっております!」
夏の申し子のごとく眩しい笑顔で、ナハシュ(中身は中の人)はウィリアムに駆け寄る。
「特に骨頭の彼には頭上がりませんね本当に! WDからもお礼を伝えてください! この1年の思い出は沢山あり過ぎて。テーラーもリプレイも全部宝物です」
ナハシュPLさんは思い出を噛み締めるように言う。
「最近だと、まさか学乱でTOPに立つことになるとは。……恐れ多い。ありがとうございます! 今後ともご迷惑おかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願い致します」
丁重な挨拶の後、ナハシュPLさんは、ちょうどウィリアムの隣にいたバクル・バスリーにマイクバトンを渡すことにした。
「こんにちはみんな! バクル・バスリーだよ。今日はPLさんの代理!」
リザードマンの少年は、溌剌と挨拶をする。
「君だっけ、迷宮都市エドゥノーグのネタ提供者は」
ウィリアムが言い、バクルはにっこりする。
「うん! ネタを出した身としては盛り上がってくれて良かったよ。各組織のバックボーンとか、探索者認定等級制度とか、すごくいい感じにまとめてもらったし」
「はっはっは。もっと褒めてくれWDを!」
「まさかのカカオフィーバーには笑ったけど」
「はっはっは」
「あとは武以外の主幹路も盛り上がってくれるといいなぁ。そして迷宮鼠も……」
「なるほど。ちょっと待ってメモるから」
ウィリアムは持参のiPadを起動する。ドン・ゴーフルは此処まで食い込む予定はなかったらしいね、とか、World0も色んな世界がごちゃまぜになる可能性もあったみたいだよ、とか口走りながら。
「もう1年か、という感じですね。時が過ぎるのは早いものです」
ウィリアムの横から、バクルと並んでiPadを覗いていたドワーフのヴィルヘルミナが、感慨深げに呟いた。
緑の髪をしなやかに揺らし、紫の瞳を伏せる。
「私はあまり積極的に動いているほうではないので、もう少し色々と足を伸ばしたいところなんですが」
「リアルが忙しくて時間がないとか?」
と、バクル。
「いえ……。もっと遊びたいし発注もたくさんしたいですけど……」
肩を落とし、顔を覆う。
「予算が」
「あ、ああ」
「予算が…………、足りない。あまりにも足りないっ……!」
マイクに向かい、絞り出すように叫ぶ。
「あのう、ヴィルヘルミナさん。魂の絶叫をなさっているところ、失礼します」
グラマラスなエルフが歩み寄ってきた。
金髪に赤い瞳、露出度の高いビキニアーマースタイルである。
「あなたは確か……、アリシア・リターナーさん?」
「はい、アリシア・リターナー役を演じております藤原祐樹と申します。今日は皆様にぜひともお伝えしたいことが」
見事な肢体をくるりと一回転し、おもむろにVサイン。
「女戦士と言えばビキニアーマー!! トラクエ3やプリンセスミネラルに性癖を狂わされまして!! 強い女はビキニアーマーみたいな刷り込みがされてしまったのでございます!!」
「ま、まあ」
「ビキニアーマーはいいぞぉ! みんな着ろ〜!! もっと流行れぇ〜!!!」
負けず劣らずの魂の絶叫である。ヴィルヘルミナは目をぱちくりさせた。
「……皆さん、キャラが濃いですよねぇ」
マイクがインソムニア勢に回る。
「こんにちは。葛飾・北斗です。エルゼリオ・レイノーラとは同背後です。おいこら、エルゼリオー!」
赤い髪と金の瞳が印象的な高校生、北斗は、エルゼリオに向かって叫んだ。
「贅沢言うんじゃねぇ! 俺なんかなー? 活動はほぼ月イチな上に、テーラーでもお前と差付けられてんだぞ!?」
「聞こえなーい」
「お前は基本画像やピンナップ複数発注して貰ってんのに、俺は全身図×3/ハーフ×1/ピンナップ×1なんだぞー?」
「聞こえなーい聞こえなーい」
「これを依怙贔屓と言わずして何と言うってんだ!」
「聞こえなーい聞こえなーい聞こえなーい」
「同背後のPCさんたちなんだね。いいね、仲が良くて」
エルゼリオと北斗に、穏やかな声が掛けられた。
カフェバー「PolarBear」の店長兼マスター、神代・守喜役の男性俳優である。
「「仲が……良い?」」
絶句する同背後ズ。
「神代・守喜です。どうぞよろしく。今日はプレイヤーの代理で参加しているよ」
今日の守喜は洒落たデニム姿。いつもはきっちり整えている白髪まじりの前髪も自然に下ろし、眼鏡のフレームの色も若干明るめにしている。
「大人だー。もしかしていつもよりもラフな感じ?」
「そうだね。50代の守喜を演じる時よりもカジュアルかな。何といっても『オフ』だからね」
「おお、渋い。今日はよろしく! ……お?」
北斗は入口を見やる。目立つ美少女ふたりが揃って入場したのだ。
「ふむ。あれは八上 ひかりさんと八上・麻衣さんかな?」
「知り合い?」
「そういうわけじゃないが、印象的なふたりなので」
「へぇ。ココがアルパカコネクトのオフ会の会場かぁ~。あ、アルパカがいる」
「某社の会場とは、結構雰囲気違うね」
ひかりと麻衣は、どちらも"夜の姿"だった。
ひかりは、金髪ツインテールの愛らしい頭部を小脇に抱えた、美少女デュラハンの姿。麻衣は、クールで理知的な雰囲気を持つ美少女スナイパー。豊かな黒髪をポニーテールにまとめている。
アルパカに手を振ってから、ひかりと麻衣はゆっくりと中央に進む。
「ふたりとも、夜の姿なんだね」
「「ふふっ」」
守喜からマイクを受け取り、くすくすと、少女たちは笑い合う。ひかりは頭部をマイクの位置まで持ち上げた。
「皆さんこんにちは。八上 ひかりです」
「こんにちは。八上 麻衣です」
「知ってる人は知ってると思うケド……」
「実は、わたしたち、某社で複数の作品に参加したPCのリメイクキャラなの」
「ほほう」
「因みに、あたしは通算3作品目」
と、美少女デュラハンはにっこりし、
「わたしなんて、もう4作品目だよ~」
と、美少女スナイパーは朗らかに笑うのだった。
物販ブースの一角にしゃがみ、高橋 佳乃子は生まれたての小鹿のごとくガクブル震えていた。
(ど、どうしよう……)
何となれば、1周年も何もあーた、PCとして生まれたばかりの状態。しかもただでさえコミュ障な女子高生。そんな佳乃子ちゃんを海千山千の手練れプレイヤーが集うオフ会に放り込むとは背後さんは鬼か蛇か。
「どうぞ?」
マイクを差し出すひかりに、青ざめて首を横に振る。
「すみません素人ですみません(どんな怪談より怖くない? この状況……)」
「そんな、謝らないでお話しよ?」
「まあまあひかりさん。多分、登録したてのPCさんなんですよ」
物腰柔らかなスーツ姿の青年が、佳乃子の目線に合わせ、腰を屈めた。
「お名前を聞いていいですか?」
「高橋、佳乃子、です」
「こんにちは、佳乃子さん。俺は羽兼・圭人っていうPCの中の人で、今日は『天音健太』として参加しています」
実はですね、と、健太は声を落とす。
「俺も登録からひと月足らずの新参者なんです。なのに1周年オフ会に出ていいものか、緊張しっぱなしだったんです」
「あなたも……?」
「ええ。でも同志を見つけて少し落ち着きました」
良かったら一緒に物販を見て回りませんか、と、健太は言い、佳乃子はほっとした顔で頷いた。
「あら、おふたりとも新規の方々? 私も始めたばかりなんですよ」
物販ブースを眺めていたエレガントな女性が、穏やかに話しかける。
「1周年記念ですってね。こんにちは。私は緋崎・憂女。私も交流のお仲間に入れてくださると嬉しいのですが」
もちろんです、と、佳乃子と健太は同時に応える。
「これ、可愛いですね。それに、これも」
物販コーナーのアルパカ指人形と、アルパカ饅頭詰め合わせを、憂女は指差す。
それをきっかけに、会話が弾み出した。
「憂女さんは、これからどう活動なさる予定ですか?」
佳乃子は頑張って質問をする。
憂女は柔らかに微笑んだ。
「そうですね。背景も気になっているんですけど……、シナリオもいいなと」
「そのうち、依頼にご一緒できるといいですね」
健太が言い、佳乃子と憂女も、にっこりと顔を見合わせた。
憂女はおっとりと言う。
「今はどんな依頼が出ているのかしら。あとでチェックしてみませんか?」
初々しい新規組もいれば、世にも恐ろしい侵蝕事件に関わり、トラウマを負った男組もいる。
大地 奏名と藤堂・皐。ふたりは、ギャルゲ空間「ときめき♡インソムニア」の犠牲者である。
「皐サン、俺はもう二度とギャルゲーは御免だ」
「アレは悲惨な事件だったね……」
遠い目をする奏名の肩に、皐は、ぽむ、と手を置く。
「俺もまさかあんな事になるなんてね……(言えない。ヒロイン版の自分にトキメイたなんて……!)」
そして天国 コハクとハスロ・弥生は、男子ズの振り返りを楽しげに聞いている。
「あら? 皐もカナ君も、こんなに可愛い美少女と美女が居るっていうのに一体どうしたの? 私は既婚者だけど、そこはそれ」
「ねえ、弥生さん。ギャルゲーって何かしら? 何がどう悲惨で悲劇だったのかしら?」
「いい質問よコハちゃん! ギャルゲはね、男たちの憧れと願望とが詰まった楽園と言うべきかしらね」
「へぇ〜、羨ましい楽園ね?」
カナ君の気も知らず、ニヤニヤと笑うコハちゃん。
ちなみに弥生お姉様の方は確信犯的な微笑であるが、コハちゃんは無知で無自覚。その無垢な笑顔は奏名の男心をざっくり抉りまくっている。
あのとき。
奏名の攻略対象は、難易度がめちゃ低い「幼馴染」だった。難なく攻略できたわけだが、問題は、そのキャラクターの外見がコハクそっくりであったこと。
チョロ甘なゲームキャラと進展しない現実との差は、あまりにも虚しい。カナ君が屍と化すのも致し方なし。
「コハちゃんと姉ちゃんには分からない男の悲しみってもんがあるのさ……」
皐はふう、とため息をつく。
奏名は、
「弥生さん、ちょっとコハの耳、塞いどいてくれ」
そう前置きして、ぽつりと言う。
「俺の落とせない女と外見がそっくりなゲームキャラが、チョロ甘だったんだよ」
「えっ、カナ君が攻略できない女の子!? それはぜひ聞きたいわね」
ふふっと悪戯っぽい笑みを弥生は見せる。なお、コハちゃんの耳は塞いでいない。
「あら、女たらしのカナさんでも手を焼く女がいたのね」
塞いでないのに、コハちゃんは何も気づいてない。女の正体に、最後まで。
「カナ君の辛さを思うと涙腺が弱くなるよ。この悲しみは酒で癒やそ」
とりあえず酒を所望したい皐サンだった。
マイクは今、司波 唯織を演じている女性が持っていた。セミロングの黒髪をサイドポニーにまとめた美女である。
「はぁい、東京インソムニア勢の皆さん、こんにちは! 1周年オフ会、楽しんでますかぁ〜!? 唯織役の鷹代上総です」
テンション高く、上総は挨拶をした。
「お会いできて嬉しいです。今日はたくさんの方とお話したいです〜」
唯織はクールで無表情な女性だが、上総自身は明るくノリが良い。喜怒哀楽の表情も、とても豊かである。
(なるほど。これがギャップ萌えか)
妙な納得をしているのは篠乃木・琢磨だ。
「鷹代さーん、俺も俺も。挨拶挨拶」
「はいはい、琢磨さん。どうぞ〜!」
「どうもー! 弁護士、篠乃木・琢磨の中の人です」
琢磨PLさんはマイクを持つ手に力を込める。
「親しいPLさんとご一緒することが多いんですが、それ以外は、ほとんどお纏めテーマ専です。なので、もしそこでご一緒した方がいらっしゃれば挨拶に伺いたいと思っています。あとはですね」
さらに強く、マイクを握りしめる。
「ウィリアムさん、レイジさん。いつもお世話になっているクリエイターの方々へ。この場で愛を叫びたいんですが、いいですか? ありがとうございます(答は聞いてない)! 皆さんのおかげでこの世界で生きています!」
そして、さらに。
巨大寄せ書き用紙にもでかでかと、『クリエイターの皆様へ。 愛 し て ま す !!! 』と書くことを忘れない琢磨PLさんだった。
「あのぅ、レイジさん」
ウエイトレス姿の少女が、つんつんとレイジの服の裾を引っ張る。
「君は儀堂 スミレさん。そっか、七海真砂ライターのNPCさん。マイクいるよな? 営業するよな?」
「もちろん営業しますとも! こんにちは、アニエピカ/インソムニアのPCさんPLさん。北海道から来ました、七海真砂と申します。アニエピカではマスターを、東京インソムニアではライターをしております。今度ともよろしくお願いいたします」
そしてスミレさんは、これどうぞ、とクラーケン焼きを皆に配り始めた。ちなみにクラーケン焼きとは、たい焼きのイカバージョンであるそうな。
そこここで、談笑の花が咲き乱れる。
「ところで、新クラスは無理でも新種族なら追加してもいいんじゃないかい?」
とか適当なことをウィリアムが言ってる。大丈夫?
「年末年始はさ、毎日黙々と感想更新してたな……ぼっちで……」
そう呟いているのはレイジ。こちらも、遊園地の絵が納品された時スタッフもビビった、とか、テーマタイトルはノリで決めてる、とか、裏話を披露している。
さらに。
「何だって、アニエピカしかやってない? インソムニアもやろうぜ、少しの時間でも遊べっから。なっ!」
と、アピールにも余念がない。
1周年のオフ会は、まだまだ終わらない。
ふえふえと、アルパカが鳴いた。
【執筆:神無月まりばな】
